あごの関節(顎関節)周辺に何らかの異常がある「あごが痛い」 「あごが鳴る」「口が開けづらい」などが主な症状である慢性 的な疾患で、原因はいくつかあり状態も異なるがまとめて顎関 節症と呼ばれます。
「硬いものを食べたらあごが痛くなったがしばらくしたら治った」という程度の軽い症状を含めると日本人の二人に一人は何らかのあごの異常の経験があるのではないかとも言われます。このように放っておいても自然に治るものもあり、必ず悪化していくという疾患ではありません。患部を安静にする、問題のある生活習慣を改善する、薬を服用するなどの治療で80%の人はよくなっているそうです。 重症になると手術が必要となったり、症状もめまいや痛みなど全身に及び、開口障害により食事の摂取が困難になったり精神的にも影響を受けるなど、日常生活に支障をきたすほどの症状に苦しむ患者様もいます。
の3つを主症状とし、この他に顎がだるい、咬み合わせに違和感がある、急に口を閉じることができないなどの症状があります。
顎関節症という病名は包括病名であり、さまざまな病態が含まれているため、すべてを同じ治療法で対処することはできません。 的確な治療をするためには、まず症型分類をします。 当院では以下の5タイプに分類しています。
顎関節部には障害がなく、咀嚼筋のみを治療対象とする症例。
顎関節症の治療で一般に行われるのは「スプリント療法」です。スプリントと呼ばれるマウスピース装置を入れることで、顎関節症の症状がよくなります。スプリント装着の目的は、筋肉をリラックスさせるとともに、睡眠時の歯ぎしりや食いしばり(ブラキシズムといいます)を軽くすることです。 その他、やわらかい食事にする、食いしばりをしないよう頭をリラックスさせる、大きな口を開けない、温湿布をする、筋肉のマッサージをする、よい姿勢を保つ、仰向けか横向きで寝る、などのセルフケアが大切です。
このような透明のマウスピースを作成し、睡眠時のみ装着していただきます。
マウスピースを装着した状態。 歯ぎしりの時のかみしめる力を分散することで顎への負担を減らし症状を改善します。
一般的には上記のマウスピースを数週間〜数か月間ご使用いただきます。 治療期間中は1〜2週間に1回のペースでご来院いただきます。 改善すれば治療は終了し、その後は定期的なチェックとなります。 改善しない場合は、マウスピースを調整しながら、治療を継続します。
また、普段の生活習慣の改善も大切です。 くいしばりをやめる。適度に関節部分のマッサージをする、あくびをしない、ストレスをためない、といったことも行っていきます。 治療の期間に影響してきます。